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クセになる可愛さ!大津絵の魅力【広報おおつWEB限定記事】

文化・芸術
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大津のまちの至るところで目にする、ユニークで可愛らしい独特の絵。
皆さんは、この絵を知っていますか?

これは、「大津絵」といって江戸時代に東海道の宿場町だった大津で土産物として売られていたキャラクター絵画。
「蕎麦一杯分」と言われるほど手頃な価格で、日本全国に普及したと言われています。
人の世の教訓を解く一方で、生真面目になりすぎず、ユーモアあふれる描きぶりが特徴です。

戦前からルロワ=グーランやジョアン・ミロ、パブロ・ピカソなど、多くの研究者や芸術家たちの注目を集めており、2019年にはフランス・パリで大規模な展覧会も開催されました。

江戸時代から現代まで、さらには海もわたって多くの人を魅了する大津絵。私たちはなぜこんなにも大津絵に惹かれるのでしょうか。
今回は広報おおつWEB限定で、大津絵の魅力に迫ります!

代表的な作品をご紹介!

鬼念仏
(おにのねんぶつ)

大津絵が生まれた江戸時代から最も有名なキャラクターです。モデルとなったのは、寺を破門された僧侶です。
押し売りで念仏を唱えて、慈悲もなくお布施をまきあげる鬼。「偽善」の罠を警告する風刺画・教訓画として広まりました。
幕末には、子どもの夜泣き止めや疫病退散・魔除けのお守りにも利用されたそう。

よく見ると、鬼の角が片方折れています。
この鬼は、「鬼本来のパワーを失って、仕方なく下界(人間界)にやってきた」という説もあるとか…!

広報おおつの表紙になりました

こちらは、2021年2月1日号の広報おおつで表紙を飾った「鬼のマスク念仏」。
コロナ禍の当時、歴史博物館所蔵の「鬼念仏」にマスクを着せたように加工したものです。
本来の力を失い、鬼を廃業して人間界にいる鬼は、人間同様にマスクを着用して密を避けなければならなかったのです。

近畿初の「ガンダムマンホール」のデザインに

大津湖岸なぎさ公園には、鬼念仏と「RX-78-2 ガンダム」が並び立つ、大津市オリジナルのデザインマンホールが設置されています。未来を感じる「RX-78-2 ガンダム」と歴史ある鬼念仏の対比がユニークです👹✨
ガンダムファンの方やデザインマンホールが好きな方は、公園内のどこにあるのかぜひ探してみてください!

※令和5年、バンダイナムコグループが企画する「ガンダムマンホールプロジェクト」より、「ガンダム」デザインのマンホールと「ズゴック」デザインのマンホールが大津市に寄贈されました

藤娘(ふじむすめ)

美人画は大津絵の早い時期からいくつか描かれていますが、その中で最も長く描き続けられたのがこの藤娘。女性が担ぐ藤が、女性の若さや美貌のはかなさを暗示するともいわれています。
また、良縁を結ぶゲン担ぎの護符としても広まりました。藤の花ビラで「イ」10つ・「し」1つの隠し文字を忍ばせ、「いとし(イ10し)」という粋な語呂合わせを表現した絵もあるんです!

話題の映画『国宝』に登場!?

女方(おんながた)として歌舞伎に一生を捧げた男の映画『国宝』は、邦画の実写映画の興行収入で歴代2位の快挙を果たし、日本中で注目を集めています。すでに観られた方も多いのではないでしょうか。
『国宝』ブームにより、幅広い世代から歌舞伎へ関心が寄せられていますが、歌舞伎の演目として有名な「藤娘」は、大津絵を起源としています。歌舞伎の演目になるほど、藤娘は人々に愛されたキャラクターだったのです!
劇中では、主人公の喜久雄(吉沢 亮さん)と歌舞伎の名門に生まれた俊介(横浜 流星さん)が「二人藤娘」を踊ります。壮絶な修行を経た二人の、可憐で華やかな藤娘にぜひご注目ください。

また、大津にある「びわ湖大津館」は『国宝』のロケ地にもなっています。
ロケ地の紹介記事はこちら(おおつ光ルくんが案内!〜大津市のロケ地を巡る〜)

有名ミュージシャンの
ミュージックビデオにも!

2004年にリリースされたサザンオールスターズの曲「愛と欲望の日々」のミュージックビデオの舞台は江戸城の大奥。そこで繰り広げられるパフォーマンスの中で、藤娘の踊りが登場します。また、ミュージックビデオの中では藤の花がデコレーションされている場面がたくさんあるので、ぜひ探してみてください。

ほかにも
魅力的なキャラクターが勢ぞろい!

外法の梯子剃り
(げほうのはしごぞり)

「外法(げほう)」とは、七福神のひとり・福禄寿(健康長寿の神)の異名。その長すぎる頭は自分で剃髪できないので、同じく七福神の大黒天(財福の神)がはしごをかけて、なんとか剃っています。
長寿を欲するあまり頭が巨大化し「財力(大黒天)の世話なくしては長寿も保てぬ」有様を風刺しています。遊び心あふれるこの絵は当時、健康長寿の護符として人気を得ていたそうです。

特徴はなんといってもこの頭!長すぎる…!

雷公(らいこう)

大事な太鼓を落としてしまい、慌てて錨(いかり)で釣り上げようとするあまり、自分まで雷雲から落ちそうになっている雷様。どれだけ熟達した者でも失敗はあり、それに動揺しすぎてはならぬ、ということを意味しています。また、雷除けの護符としても効能があるとされていたようです。

普段は人々に恐れられている雷様の滑稽な姿は、どこか憎めなくて可愛らしい!👹

猫と鼠(ねことねずみ)

本来、天敵であるはずの猫に酒をおごられて、油断して大酒を呑む鼠。猫はつまみを差し出しながら、心の中では「いつ食べようか…」と狙いを定めています。うまい話ほど怖いものはない!ということを警告する大津絵です。果たして鼠の運命は!?

しめしめと、ほくそ笑む表情の猫と無防備すぎる鼠。
見ているこちらがハラハラします
。お酒はほどほどに…


いかがでしたか?今回紹介した大津絵はほんの一部ですが、現代を生きる私たちも思わず共感してしまうメッセージがたくさんありました。
面白いだけでなく、人生の教えが隠されている「深さ」こそが、多くの人が心をぎゅっとつかまれる理由の一つなのかもしれません。

大津絵をもっと
見たい!知りたい!

大津市歴史博物館では、大津絵を常設展示しています。
また、この度期間限定の企画展として「れきはくの大津絵」を開催
さまざまな画風で描かれた大津絵や、人形や置物などにかたちを変えた大津絵など、開館以来収集を続けてきた所蔵品を一堂に展示します!
大津絵に関する調査研究の蓄積から、江戸時代から現在までを通して、大津における大津絵のあり方と、どのように全国へ広まったのかをご紹介。

大津絵がお好きな方も、今回初めて知った方も、ぜひお越しください!

第98回企画展 れきはくの大津絵 

日時
9月27日(土曜)〜11月9日(日曜)
場所
大津市歴史博物館(御陵町2-2) 企画展示室A
料金
一般800円(640円)・高大生400円(320円)・小中生200円(160円)
※()内は前売り、15人以上の団体、市内在住の65歳以上、市内在住の障害者の方、市内在住の要介護者・要支援者の方の割引料金

企画展の関連イベントも多数開催!

記念講演会・れきはく講座

  • 大津絵と柳宗悦
    講師:白土慎太郎氏(日本民藝館学芸員)
    日時:10月18日(土曜)14時~15時30分
  • 大津絵を現代に伝える
    講師:五代目高橋松山氏(大津絵師)、木津勝(本館副館長)
    日時:10月25日(土曜)14時~15時30分
  • 大津絵と信仰
    講師:クリストフ・マルケ氏(フランス国立極東学院教授・京都支部長)
    日時:11月1日(土曜)14時~15時30分
  • アメリカの美術館における大津絵
    講師:鈴木堅弘氏(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター特別研究員)
    日時:11月8日(土曜)14時~15時30分

ワークショップ

  • スタンプで知る
    大津絵キャラクターのアイテム
    講師:山田真実氏(成安造形大学地域実践領域助教)
    日時:10月19日(日曜)
  • 江戸時代の技法を使って
    大津絵のカレンダーを作る
    講師:日本大津絵文化協会
    日時:11月3日(月曜・祝日)10時~12時

    講演会・ワークショップの申し込みはこちら(歴史博物館ホームページ)

学芸員によるスライドトーク

  • れきはくの大津絵―江戸前期から幕末まで
    10月22日(水曜)14時から(45分程度)
  • 近代のみやげ物としての大津絵
    10月29日(水曜)14時から(45分程度)
    ※いずれも予約は不要です

グッズも購入できます!

ほかにも缶バッジやクリアファイルなど、たくさんのグッズをご用意!

\\ミュージアムショップでお待ちしています//

詳しくはこちら
(歴史博物館ホームページ)

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