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【特集】古典から現代文学まで 未来へ受け継ぐおおつの文学

文化・芸術
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昨年放送された大河ドラマ「光る君へ」をきっかけに、主人公・紫式部ゆかりのまちとして注目された大津。彼女の代表作「源氏物語」以外にも、古典から近代文学、そして現代文学まで、大津は多くの文学者に愛され、数々の作品の舞台になってきました。

今号は、過去から未来へつながる大津の文学と、今年初開催する文学のイベント「湖都の葉マルシェ」を特集します。

なぜ、大津には文学ゆかりの地が多く存在するの?

大津は古くから、東海道やびわ湖・瀬田川を介して日本各地を結ぶ場所として、多くの人や物が行き来するまちでした。延暦寺や園城寺(三井寺)、石山寺などの寺社にも多くの貴族や文人が訪れ、その様子が数々の文学作品に記されています。

瀬田の唐橋

大和言葉で美しい和歌が詠まれた
【飛鳥時代】

「百人一首第一番歌」天智天皇

場所 近江神宮

百人一首の第一番歌を詠んだとされる天智天皇がまつられる近江神宮は「かるたの聖地」と呼ばれています。今年、競技かるたに青春をかける高校生たちのドラマ「ちはやふる―めぐり―」が放送され、さらに話題を呼びました。

近江神宮

優雅で華やかな文学が愛された
【平安時代】

小野小町は逢坂山で隠居し、蝉丸は逢坂の関での出会いと別れの歌を詠みました。

「源氏物語」紫式部

場所 石山寺

「源氏物語」は紫式部が石山寺に参籠中、十五夜の月がびわ湖の水面に映るのを見て着想を得たといわれています。主人公・光源氏の波乱に満ちた生涯と、彼を取り巻く女性たちとの恋愛模様を軸に展開する大作で、千年以上にわたって多くの人々に読み継がれています。

2024年にはNHK大河ドラマ「光る君へ」で紫式部の生涯が描かれ、ゆかりの地・石山寺には全国各地からたくさんの人が訪れ、大きな注目を集めました。

石山寺

行尊は園城寺(三井寺)で密教を学び、慈円は延暦寺の最高職に就きました。

乱世の中での物語が花開いた
【鎌倉・室町時代】

「平家物語」「太平記」など

場所 延暦寺・園城寺(三井寺)

比叡山延暦寺と園城寺(三井寺)は、天台宗の二大勢力として、対立を繰り返す様子が多くの歴史物語に登場します。

軍記物語の代表作、平家の興隆から滅亡までを描いた「平家物語」と、鎌倉幕府の滅亡から南北朝の動乱を描いた「太平記」においても、単なる宗派のいさかいではなく、権力争いや経済的利害が複雑に絡み合った物語の重要な要素として描かれており、当時の社会における寺社勢力の絶大な影響力がうかがえます。

文化が発達し、多様な文学が生まれた
【江戸時代】

「幻住庵記」松尾芭蕉

場所 幻住庵・義仲寺

元禄3(1690)年、松尾芭蕉は幻住庵に4カ月間滞在し、当時の生活ぶりや心境などを記した「幻住庵記」を書きました。

幻住庵

「行く春を近江の人と惜しみける」と詠んだように、近江を愛した芭蕉は、元禄7(1694)年に亡くなるまで、幾度となく大津の地を訪れ、遺言によって義仲寺にお墓があります。

松尾芭蕉のお墓(義仲寺)

話題作が大津で次々に誕生し続ける
【現代】

2021年「塞王の楯」(集英社)今村翔吾

大津市在住の作家・今村翔吾氏の代表作。戦国時代の大津を舞台に、究極の守りを誇る石垣職人「穴太衆」と究極の攻撃を追求する鉄砲職人「国友衆」の攻防を描いた歴史小説で、第166回直木賞を受賞しました。

2022年「汝、星のごとく」(講談社)凪良ゆう

「流浪の月」に続いて、2度目の本屋大賞に輝いた大津市出身の作家・凪良ゆう氏の話題作。15年にわたる愛の物語を繊細な筆致で描き、多くの読者の共感を呼びました。来年には、横浜流星さん、広瀬すずさん主演で実写映画の公開も予定されています。

2023年「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)宮島未奈

2024年の本屋大賞受賞作。大津市に住む中学生・成瀬あかりと彼女を取り巻く人々の交流を鮮やかに描き出した青春小説です。著者・宮島未奈氏も大津市在住で、同作で小説家としてデビューされました。

\この秋初開催!/
作り手と読者がつながる大津の新しい文学イベント
【湖都の葉マルシェ】へ行ってみよう

日時 11月15日(土)10時〜15時

小説、エッセイ、詩、評論、絵本…ジャンルを問わず、作り手の熱量が詰まった作品が大津に大集合!
ここでしか出会えない、あなたにとって特別な一冊を見つけに来ませんか?

市ホームページ

X 公式アカウント

「湖都の葉マルシェ」の名前の由来

「湖都」はびわ湖を抱き、かつて都が置かれた大津を表すとともに、いにしえの都“古都”の意味も込めています。「湖都の葉」は、「言葉」を言い換えた「言の葉(ことのは)」を表しています。

誰かに伝えた言葉が誰かの心に種をまき、やがて芽吹き葉が茂るように「文学を通じて人と人がつながり、豊かな心が育まれる大津でありたい」という願いを込めました。地域の作家や市民が交流し、地域に根づいた文化を育む場となることを目指します。

びわ湖のほとりで新しい文学と出会う
【メイン会場】

場所 なぎさ公園おまつり広場・修景緑地
(雨天時は旧大津公会堂)

⚫︎文学作品のフリーマーケット

市内外から集結した約100人の本好きが自作の文学作品やZINE、古本などを出品。本屋では出会えない、個性豊かな唯一無二の1冊を直接手に取ってご覧いただけます。作者本人から制作の裏話を直接聞くことができるかも。

自由な文学「ZINE」って?

「マガジン(magazine)の「ジン」から生まれた言葉で、個人や有志グループが自費で制作・発行する出版物。若者を中心に今注目を集めるカルチャーで、プロ・アマチュアを問わず作り手の「好き」や「伝えたい」という思いがそのまま形になっている点が魅力。

⚫︎飲食ブース

近江牛や地ビール、和菓子やコーヒーなど、読書のお供にぴったりな大津のグルメが多数出店!本を片手にお腹も満たしませんか。

⚫︎リサイクル本の譲渡会 移動図書館

約3,000冊のリサイクル本の譲渡会を開催。また、本の貸し出しをする移動図書館“さざなみ号”が登場します。
※雨天時、リサイクル本の譲渡会は市立図書館で開催。移動図書館は中止。

⚫︎大津の文学PRブース
出版社・ワークショップブース

大津ゆかりの文学を紹介します。また、出版社等によるワークショップで、ZINEの制作体験などもできます。

街中で文学と向き合う
【サテライト会場】

場所 丸屋町商店街周辺

⚫︎「青春21文字のメッセージ」特別展示会

大津市発祥の新文芸「青春21文字のメッセージ」の第19回入選100作品を発表。また、当日来場者の投票で、特別賞「湖都の葉マルシェ賞」が決まります。さらに、数量限定で過去の作品集をプレゼントします!滋賀大学教育学部の協力で、メッセージを絵にした作品も展示。
場所/ギャラリーQ

⚫︎湖都の葉おはなし会

大人から子どもまで参加できるおはなし会と朗読会を開催!リサイクル絵本の譲渡会も。
場所/大津百町館

⚫︎トークイベント

直木賞作家の今村翔吾氏と「文学の寺」と呼ばれる石山寺座主 鷲尾龍華師によるスペシャルトークセッションを開催!

時間/13時~
場所/大津祭曳山展示館
指定席/50人
当日11時から大津祭曳山展示館で整理券を配布予定(なくなり次第終了)
※整理券による指定席以外に、一部立ち見スペースあり。

今村翔吾氏
鷲尾龍華 師

メイン&サテライト会場を巡って素敵な景品をゲットしよう!

⚫︎スタンプラリーに参加しよう

先着300人に500円分の図書カードをプレゼント。さらにガラガラ抽選で豪華景品も当たります。はずれなしなのでぜひ参加してください!

⚫︎図書館ブースに行こう

メイン会場とサテライト会場の図書館ブースに来てくれた子どもたち先着100人に図書館マスコットキャラクターHOOT特製缶バッチをプレゼント!

出店者に聴きました!

「ことばが光ると思いが届く」青春21文字のプロジェクト

プロジェクト代表 福井美知子さん

「青春21文字のメッセージ」は、通学路線である京阪石坂線の駅数が21であることにちなんで、電車と青春にまつわる思い出や夢を21文字で表現する、大津生まれの新しい文芸です。電車の中で繰り広げられるさまざまなドラマを描いた言葉は、人々の共感を呼び、今年で19年目を迎えました。

受賞作品を電車内の中吊りや駅、商店街に掲示するスタイルは、早春の大津の風物詩となっています。
SNSが普及して短い言葉で発信する機会が増え、とても便利な時代になりましたが、だからこそ言葉を磨くことは一層大切になっているように思います。

本の輪で、まちの魅力を広げる

namiさん

今年から「おおつほんのわ」という活動を始めました。トークイベントや本の交換会を通じて、本をきっかけに人と人がつながる場を作っています。この「つながり」が広がることで、大津がさらに豊かで魅力的なまちになればと願っています。

湖都の葉マルシェでは、その場でZINEが作れるワークショップを開催する予定です。
ZINEの魅力は、形式に縛られず自由に創作できるところ。完璧でなくても構いません。気軽にご参加ください。誰かの創作の一歩目になれたら嬉しいです。

一期一会の出会いを楽しんで

散歩日和さん

湖都の葉マルシェでは、旅や暮らし、散歩がテーマのZINEと古本を出品する予定です。
2年前から始めたZINE作りは想像以上に楽しく、作る過程で自分の気持ちや大切にしているものを再確認できるところに魅力を感じています。

当日はびわ湖の穏やかな風景のそばで素敵な本がたくさん並びますので、私自身とても楽しみにしています!「いいな」と感じたら、手に取ったり作者と話したりしてみてください。
本との一期一会の出会いをぜひ楽しんでいただきたいです。

市政広報番組「光ル☆おおつ」で湖都の葉マルシェを紹介します!

放送/11月2日(日)18時5分~18時10分(びわ湖放送)

⚫︎おおつの文学
文化振興課  ☎077-528-2733

⚫︎湖都の葉マルシェ
商工労働政策課 ☎077-528-2755

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