大河ドラマ「光る君へ」(NHK)の人気ぶりを受け、9月8日(日)に大津市民会館で「スペシャルトークショー」が開催されました。まひろ/紫式部役の吉高由里子さん・藤原彰子役の見上愛さんや、製作統括の内田ゆきさん・チーフ演出の中島由貴さんが登壇され、大津の魅力やドラマへのこだわりを語っていただきました。
(この記事では、広報おおつ11月号の紙面に掲載しきれなかったスペシャルトークショーの様子をさらに詳しくお伝えします)
大津の印象・魅力
―大津市にお越しいただきありがとうございます。
「光る君へ」では滋賀県でもロケをされたとのことですが、印象はいかがですか。
内田さん
他の作品の撮影でも訪れたことがあるのですが、滋賀県の皆さんには本当にお世話になっています。来るたびに温かく迎えていただき嬉しいです。あと、なんといってもやっぱりびわ湖ですよね。びわ湖を見ると、「帰ってきたな」というどこか懐かしい気持ちになります。
中島さん
今回の「光る君へ」のまひろと父親が越前に向かうシーンは、「絶対にびわ湖でロケをしたい!」とわがままを通させていただきました(笑)。そのおかげで、臨場感のあるとてもいいシーンになったなと思っています。
石山寺での思い出・撮影シーン秘話
―吉高さんと見上さんは石山寺にも行かれたんですよね。
吉高さん
私は3月に伺い、気候もよく気持ちよかったです。石山寺の風景は、当時から大きくは変わっていないと思うので、紫式部が実際に感じていた空気感に触れ、不思議な気持ちになりました。
見上さん
紫式部が源氏物語の構想を練った場所と伝わる「源氏の間」が一番印象に残っています。紫式部の人形がいたのですが、思い悩んでそうな顔をしていました(笑)。
吉高さん
今も昔も変わらず、たくさんの人が訪れているというのがすごいですよね。
見上さん
都からちょうどいい距離にあるので、平安時代は船で石山寺へ行くのが流行っていたと聞きました。それにならって、私もホテルから船で石山寺に行ったのですが、橋をいくつもくぐってわくわくしました。びわ湖もきれいで、風が心地良かったです。
―ドラマの中では、石山寺のセットが使われているとお聞きしました。
中島さん
当時の姿を再現するため、石山寺縁起絵巻を参考にして作ったセットを使用しています。朱塗りの柱があったりするので、今の石山寺の姿とは少し違いますね。高いところにあるというのを表現するのが難しかったのですが、岩の配置などでうまく石の上にある雰囲気を出すなど、試行錯誤しながら、細部にまでこだわったセットです。
―石山寺でのシーンは印象深く、美しいものが多いですよね。
中島さん
まひろの人生に大きく影響を与える重要な場面が多いと思います。例えば、第15回のまひろと藤原道綱母とさわの3人が石山寺で話すシーンでは、岩の配置や、秋の設定だったので紅葉の色など、とことん追求しました。
―第27回ではまひろと道長が再会するシーンがありました。
吉高さん
台本を読んだときにはびっくりしたのですが、目には見えない力が二人の間にはあるのだと思います。それが石山寺で爆発したのではないでしょうか。石山寺という神秘的で不思議な力のある場所だからこその展開なのだと思います。
彰子ゆかりの地、比叡山延暦寺
―見上さんは彰子にゆかりのある比叡山延暦寺にも実際に行かれたんですよね。
見上さん
彰子が願いを込めた写経を入れていた経箱を実際に見せていただきました。1,000年前のものが綺麗な状態で残っていて感動しました。面白かったのが、彰子は「自分が死んでも仏になって、みんなに幸せを与えたい」と願ったのに対して、道長はとにかく自分のお願いごとばかりなんです(笑)。
吉高さん
すごい!自分の死後ですらみんなの幸せを願うなんて、彰子の人柄の良さがわかります。
内田さん
それに対して、道長は自分本位な悪役としてのイメージが強いですね。ただ、彼も権力のことばかり考えていたわけではないと思うので、「光る君へ」では他の顔も見せられるように意識しています。
見上さん
彰子が実際に使っていたものを、自分の目で見ることで、彼女の人物像をより鮮明に思い描くことができ、本当によかったです。貴重な経験ができたので、これからのお芝居に生かしたいです。
吉高さん
私も、さまざまなゆかりのある大津に来られて嬉しかったです。まひろと同じ風景を見られたと思うと、感慨深いですね。